カモフカブログ

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ドラマ「エルピス」5話感想 1章と2章の違いを考えてみると

ドラマ「エルピス」

フジテレビ系月曜10時~放送中

 

冤罪の調査報道をしたタイミングで再審請求が棄却されてしまい、冤罪を晴らすどころか逆効果になってしまったのかと、調査を中止することにした浅川。

しかし岸本は一人で調査を続け、目撃証言に関する謎に近づいてゆく。

 

3話で1章が終了し、4話から2章とのことらしいですが、冤罪事件を調査するというストーリーは普通に続いているので、章が変わったという感じはあまりしません。

とは言え考えてみると、1章は浅川が失っていた自己を取り戻すまで、2章は岸本が自己を失っていたことを自覚して取り戻そうとしている、ということかなとも思います。

 

1章は政府や警察など社会的な権力の理不尽さ、2章は学校内のいじめや家庭内の暴力など身近な権力の理不尽さにスポットを当てているようにも感じます。

どちらも力を持つ者が弱い立場の者を虐げて、それを反省せずにのうのうと存在しているという構図で。

 

岸本の母親は妙に明るいなとは思っていましたが、その裏にこんな過去があったとは。

こんな過去があるので、それを払拭するために妙に息子に明るく接していたのかもしれませんが。

結果として息子の心を潰してしまっていたけれども、権力に逆らえないような社会で息子を守るためにどうすべきだったのか。

息子のためにしたことだという台詞は責任転嫁だとは思いますが、自分の立場の弱さを自覚している切実な台詞を聞くと母親を責め切れないような。

 

母親役の筒井真理子の豹変ぶり、痛々しい演技も説得力がありました。

個人的には、筒井真理子のイメージとは違って陽気過ぎるキャラクターだなというのも思っていたので、やっぱり陽気なだけではなくこういう苦悩を抱えていたのかとしっくりきたというところも。

 

夫の暴力に耐えていたが今は子どもたちと逃げている証言者の女性、子どもたちとは良好な関係を続けているらしいその女性との対比も印象的です。

どちらも、立場は違えど辛い状況にあった母親を描いているのかと。

 

新たな証拠を手に入れて、これからどう動くのか。

敵か味方か笑顔の中に不穏さもある斎藤の動きも気になります。

真犯人は副総理の息子というパターンかな、などと考えてしまいますが、犯人の意外性よりもどのように権力構造に迫ってゆくのかが見どころだと思っています。