2024年4月から深夜に放送されているテレビドラマ「滅相も無い」の感想です。
MBS・火曜 深夜0:59~
TBS・火曜 深夜1:28~
※ネタバレのある感想です。
日常風景の中に突如出現した巨大な穴、調査隊も一般人も中に入って戻ってくる者はいない。
そんな穴の奥には救済の世界があると説く教祖の小澤。
穴に入る前に自分の人生を話し記録するという小澤の教えに従い、集まった8人の男女は順番に過去の経験を語ってゆく。
という設定で、設定も奇妙で面白いのですが、登場人物が語る過去の回想シーンが、あからさまな舞台のセットの中で、大人の演者が子ども時代から演じるという、これまた奇妙で面白い演出で楽しめます。
集まった8人を演じる俳優陣も演技派ぞろいで、現代パートの自然な大人な雰囲気もよいですし、現在2話まで放送されていますが、今後順番に奇妙な回想シーンを演じてゆくというのも楽しみです。
ひとまず、1話と2話の感想を書きます。
1話
中川大志が演じる川端という男性のエピソードです。
子供の頃から理不尽な態度をとられても怒ることができないという川端。
彼女からの理不尽な態度を改善してもらおうと、怒ることを決意して怒る練習を始めるも…
川端は子供時代の親からの抑圧がもとで、自分の気持ちや感情を抑えるようになってしまったようです。
父親の見下すような態度、男らしさの押し付け感など、本当によろしくないなと思います。
怒る練習をするさまはコミカルで笑ってしまいましたが、自己啓発講座のような不穏感もあり、リハビリのような切迫感もあり、笑っていいのかなんなのか。
怒った方がいいと言われて怒ることを決意するのも、流されているようにも感じますし。
彼女に対して怒ることができたものの、何突然キレてんの?としか思われていないような気がしますし。
この話が通じない彼女にはイライラさせられて、そもそもさっさと別れたらいいだろと思いましたが。
とは言え、このエピソードでは彼女という扱いですが、こちらの気持ちは無視して自分本位の理論を押し付けてくるモノというのは社会に存在しますし、そういったモノや社会とさっさと別れるというわけにもいかないのかと。
そういったモノと別れるために、川端は穴に入ることを選んだということなのだろうかと。
率直に言って川端の語りを聞いた時は、それくらいの理由で穴に入ることを選ぶのか?と感じたのですが。
何となく、穴に入ることはあの世に行くような行為と同等、というイメージがあったので、そこまで世をはかなんでいるようには見えないのに、と。
しかしよく考えると、向こう側には救済の世界があると信じて集って来た人達なのだから、今の社会に居づらいものの世をはかなんでいるという程ではない、今の社会から離れて新天地で暮らそう、といった感覚なのかなと解釈しました。
ついでに、川端の親が穴に入ったというのは、何で?と。
親が入ったから自分もみたいな感じも、やっぱり流されてるのでは…、とも思いました。
2話
染谷将太が演じる菅谷という男のエピソードです。
小学生の時の初恋の相手と大人になってから偶然再会したという菅谷。
想いを伝えることなく別れ、また数年後に偶然再会をすることになるが…
この菅谷も、子供の頃に空手道場に通わされるなど、親から男らしさを押し付けられているような。
それが影響しているのかどうかはよく分かりませんが、素直に気持ちを伝えることなくすれ違うことに。
お互いに想い合っていたけれども結ばれなかった二人、という悲恋っぽいお話でしたが…
菅谷は妻よりも初恋相手の方を想っているようで、妻や子供に後ろめたさを感じているのか、子供の病気についての悩みもあり、穴に入ることを選んだ様子。
しかし、初恋の相手を想っていることが後ろめたいとしても、子供の病気を天罰だと感じるというのは違和感がありました。
子供の余命がわずかとしても、妻子を置いて穴に入るってどうなんだ?と。
ところが最後に、菅谷は穴に入らずに失踪、菅谷の妻子は元気に暮らしているということが判明。
菅谷は嘘をついていたのか、どこまでが本当の話なのか、分からなくなってしまいました。
過去の話でもちょいちょい嘘をつくシーンがありますが、嘘を後悔している、自分の気持ちに嘘をついていることが辛い、というようなことで穴に入ることを選んだのかもしれませんが。
回想シーンの部分は本当で、全てを語っていないという可能性も。
とは言え、子供の話は嘘をついているようには見えなかったし、そんな嘘をつく理由もないと思うので、実は菅谷と初恋相手との間に子供がおり、その子供のことなのか?と。
実は初恋相手と関係を続けており、失踪というのは初恋相手の元へ行ったのでは、などと考えてしまいましたが。
それにしても、実際に穴に入ったかどうか、どうやって小澤側は確認しているのだろうかという疑問もあります。
映像では穴に向かう時は一人のようでしたし。
今後の各自のエピソードや、穴の謎が解明されるのかどうかなど、期待しています。