カモフカブログ

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アニメ「チェンソーマン」8話~12話感想 期待の方向性が間違っていました

※一応、ネタバレを含む感想です。

ちなみに原作漫画1部は未読です。

 

8話

前回のラストを姫野視点で繰り返すという演出には驚きました。

同じシーンを別視点で繰り返す演出自体は嫌いではありませんが、別視点だからと言って新たな発見があるわけでもなく、職場の先輩が酔っぱらった後輩を持ち帰ったということを強調する必要があるのかなと。

持ち帰るとかの描写は個人的には不快ですが(映画「プロミシング・ヤング・ウーマン」を連想しますので)、少年漫画的には異性との接触イベントの一環という捉え方なのかもしれませんが。

 

姫野はそこまで重要なキャラクターなのか、という感じもします。

とは言え、逆にここまで細かく描写するのだから、主人公にとって重要なキャラクターなのだろうみたいな印象になっていたのが、このラストで退場してしまうとは。

え?もう退場?あれだけフューチャーしておいて?と驚きましたので、冒頭の繰り返し描写はこの展開の衝撃度を増すという効果はあったと思います(原作未読の場合ですが)。

 

9話

今回はマキマの不気味さやホラー感が多めで面白かったと思います。

マキマの攻撃手法は、個人的にも好きな漫画家・伊藤潤二の「潰談」が元ネタというのは、ネットの記事で読んだことがあったので、これかと。

このホラー感のある場面に音響の不穏さなども合っていたと思います。

 

コベニも、なんでこんな人を雇っているのかと疑問でしたが、ここまでの能力があるとは、意外性のあるアクションで良かったです。

しかし、ここまでの能力があるのに、拳銃を構えたまま車に乗り込む襲撃犯を撃たずにじっと見ている場面は、何故撃たない?と思いましたが。

乗り込んでから一応撃ったりして、もしかして、コベニは襲撃犯をわざと見逃したのか?何らかのかたちで襲撃犯とつながりがあるのか?と考えてしまいました。

後で、レビューなどで原作では弾切れのため襲撃犯を逃してしていた部分が改変されているということを知り、何故こんな不自然な改変を?と思うようになりましたが。

 

10話

アキや姫野の描写は丁寧だなと感じました。

主人公のデンジに比べて、共感を得やすい心情と言うかヒロイズムと言うか、分かりやすい動機と行動なので、製作側にとっても描きやすいし気持ちが入れやすいのかなと。

 

マンションでの岸辺とデンジの攻防は、パワーとの同時攻撃の割にはデンジのタイミングが遅いような気がしました。

あと、岸辺の蹴りの別アングル繰り返し演出は、個人的にはイマイチでした。

Youtubeなどでも一部映像を繰り返す演出がありますが、それ程面白いわけでもないのに、ここ面白いでしょうとしつこくアピールしているような印象があって、苦手なもので。

アクション映画での生身の凄いアクションシーンなど、そこで繰り返す演出がある時は、本当に凄いのでおお!と感じますが、アニメだと微妙に感じてしまいました。

 

11話

OPに出てくる悪魔とか魔人については、後々敵として出てくるのかなと思っていましたが、公安メンバーだったのかと。

 

12話

姫野とアキの思い出の回想がまたかと思いましたが、おそらく一般的には感動的なシーンなのだろうと感じます。

コベニが襲撃犯を捕えましたが、この状況でボーナスのために続けているというのは笑いました。

アキのセンチメンタルな空気の後のタイミングで、こういうブラックなテイストはやはり面白いと思います。

もしや、コベニが9話で襲撃犯を見逃したのは裏で繋がっているためかもなどと考えましたが、やはり関係なかったのでしょうか。

 

クライマックスの戦闘シーンは見応えがありました。

サムライソードは祖父の復讐という動機があるようですが、祖父のデンジからの搾取ぶりを知っていると、その主張はかなりムナクソが悪いですが。

とは言え、身内の復讐という点にはアキとの対比も感じます。

 

最後の最後は、やはり2期に続くみたいなカットでした。

色々と批判も多いようですが、同じ制作会社と監督で続けられるのでしょうか。

 

まとめ

おそらく普通にクオリティの高いアニメなのだろうとは思います。

普通に美男美女がカッコよくアクションしたり恋愛感情を抱いたり、人気があるのも分かると言うか。

個人的には、普通に美男美女がカッコよくアクションしたり恋愛感情を抱いたりする作品は、さほど興味は無いのですが。

 

漫画が人気になってきた辺りで、主人公の価値観が通常の少年漫画とは異なる、という記事を読んでいたので、固定観念を覆すような面白さがあるのかなという期待もあったものです。

これについては、勝手に期待しただけですし、期待の方向性が間違っていたのだろうと。

 

映画をモチーフにした部分もあるらしいし、チェンソーも「悪魔のいけにえ」だろうし、非情でブラックなホラーなテイストがあるのだろうか、という興味もありました。

また、漫画の1部は読んでいないものの2部は読んでおり、ブラックなテイストのユーモアやコマの間の取り方など面白いと思って読んでいましたので、そういう面白さがアニメにもあるのかなと。

 

アニメの印象としては、アキと姫野の存在感が強い、アキと姫野の回想シーンが多い、そのためか普通に感傷的なヒロイックなテイスト、かなと。

アクションシーンやホラーシーンなどは、結構楽しめました。

レビューなどを見ると、原作漫画とアニメは雰囲気が違う別物と書かれていたりしますので、時間があれば読んでみたいと思います。

 

ついでに

DVDの特典パッケージで、映画のポスターのパロディをしているのが話題になっていた件について。

個人的には、こういった表紙的なところで露骨なパロディはあまり良いとは感じませんし、デザイン的にもそんなに良いと思えませんでした。

その映画とキャラクターが重なる部分があるならまだしも、特にそういう意図も感じられなかったものです。

原作者が好きな映画をピックアップしているのか、使用許可の取れたものがこれだったのか、よく分かりませんが。

アキが「時計仕掛けのオレンジ」って、全く関係ないと思いますが。

アキのストイックな道徳観念は社会の洗脳によるものという皮肉でしょうか、もしかしたら今後道徳観念を放棄して非道の限りを尽くすような展開があるのでしょうか。

しかし、OPのような作中のワンシーンならともかく、その映画のメインビジュアルをタイトルロゴも含めて表面的にパロディしているようなものは、商業作品としてあまり良いとは思えないというところです。