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あらすじ
失踪したという駐在警官の後任として、妻子と共に供花村にやって来た阿川。
村人からは歓迎されるも、村の有力者・後藤家からは威嚇的な態度をとられる。
後藤家の老婆の遺体が山で発見されるが、その遺体に不審な点を見つけたり、奇妙な風習を目にしたりなど、違和感を覚える出来事が続く。
そんな中、前任の駐在の娘から後藤家は人を食べているという話を聞き、阿川は真相を探ろうとするが…
感想
冒頭の長回しのショットから、鬼気迫る異様なインパクトで引き込まれました。
駐在所にやって来た主人公・阿川を歓迎する村人たちの和やかな雰囲気にも、どこか不穏さを感じてしまいます。
後藤家の敵意を感じる態度や奇妙な風習にも驚かされ、違和感を覚えざるをえません。
1話では、平凡で良識的な価値観の人間が閉鎖された村に入り、良識から外れた村の風習に翻弄される、というスリラーなのだろうと思わされます。
が、村人と和やかに接していた阿川にも妙な違和感が。
1話でも、村人に対する態度と後藤家に対する態度となんだか空気が違うなと、少し違和感がありましたが、後藤家の威嚇的な態度に対するものかなくらいに考えていました。
2話で後藤家と対峙する場面では違和感がが顕著になり、阿川もどこか良識から外れているのではと思わされてしまいます。
3話では阿川の過去が描かれましたが、犯罪者に対する攻撃性は異様に見えます。
大切なものを守るための行動という点では、後藤家の暴力的な行動と重なると指摘され、否定することはできません。
視聴者側と同じ価値観と言うか、良識的だろうと思っていた主人公が、こういう人物像というのはいい意味で裏切られました。
このため、村の外のこちら側が普通で、村が異様、後藤家の行動は異様な悪、などと単純に決めつけることができない、善悪のラインがあいまいということを考えされられます。
役者陣の演技も良く、やはり阿川役の柳楽優弥の演技が素晴らしいです。
徐々に違和感を滲ませる佇まい、家族に見せる父の顔、犯罪者に対する攻撃性と、多面的な人物像でも説得力のある演技だと思います。
やはり目力がありますし、どこか狂気をはらんだような眼差しで容赦ない暴力を振るう様子はインパクトがあります。
暴力的な部分は柳楽優弥主演の映画「ディストラクション・ベイビーズ」の容赦のなさを思い出させます。
今回は父親という顔もあり、家族に対する優しさと犯罪者に対する暴力性がフラットに現れるというのが複雑な印象です。
不穏さを醸し出す村の日常描写も、硬質で緊迫感のあるアクションやバイオレンス描写も良いです。
暴力の残酷さを淡々と容赦なく描いているのも印象的です。
何を考えているのか分からない、本心はどうなのか、そんな不安な空気や間を映像で表現できていると思います。
映画「さがす」の片山慎三監督が手掛けているということで興味を持ち観たものですが、期待通りの面白さでした。
原作は未読で、今後の展開がどうなるのか楽しみです。